DXの進め方|前提知識と事前準備、導入のステップ、メリット・注意点

2022年5月27日

企業によるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進は、顧客体験向上や生産性向上、業務効率向上など、さまざまなメリットがあります。
ただし、やみくもにDX推進を目指しても思うような結果は得られないかもしれません。DXの基本的な進め方を知って実践し、今後の市場変化に対応できる競争力を手に入れましょう。

今回は、DXの基礎知識や導入までのステップ、DX推進によって得られるもの、プロジェクト実施時の注意点など、さまざまな情報をご紹介します。

DX推進に関する基礎知識

DXとはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。また、DX推進が取り沙汰されている背景には、どういったものがあるのでしょうか。
こちらでは、DXを検討する前に知っておきたい基礎知識を解説します。

DXの定義

DXは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略語です。直訳すると、デジタルへの変換という意味を持ちます。

DXの定義は明確に定まっているわけではありません。
ただ、経済産業省が公表したガイドラインにおいては、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。

単なるIT化やIoT化にとどまらず、企業自体の基盤をも変化させることで競争力を高めるのがDXの本質といえます。企業がDXを推進する際は、上記の定義を参考にしても良いでしょう。

DX推進が必要とされる背景

DX推進が注目されるのは、日本企業で「2025年の崖」が懸念されているのがひとつの理由です。
DXを実現しないままではデータをうまく活用できず、市場の変化に対応できないため、経済損失が2025年以降に最大で12兆円/年に達すると算出されています。

特に、既存システムの保守運用コストがかかる点は、2025年以降の経済損失に大きくかかわってくるといわれています。カギとなるのは「レガシーシステム」への対応です。
複雑化、老朽化、ブラックボックス化の課題を抱えた既存システムはレガシーシステムと呼ばれます。保守運用できる人材が少なくなると、災害やトラブルに対応できず、情報漏洩やデータ消失のリスクがあるため、対策を講じる必要があります。
DXを推進する上では、レガシーシステムによる問題を解決し、新たなシステムへ適合していくことが求められるでしょう。

DXの実現を通して、日本の国際的な競争力の強化が期待されています。
経営層が既存システムの問題について把握し、DX推進の必要性を知った上で、施策を実行していくことが重要です。

DXを進める際の事前準備

DX推進は一朝一夕で成功させられるとは限りません。
事前に目標を決め、社内体制の整備や適した人材の確保などを行う必要があります。
こちらでは、DXを進める前にしておきたい準備について解説します。

DX推進の目標設定

自社がDX推進へ取り組む目的や、実現すべき目標などを策定します。
例えば、「デジタル技術の活用によって、自社の商品・サービスを通じて顧客へ提供する価値を刷新し、CX向上を目指す」というように、具体的なビジョンを掲げましょう。

イメージが湧きにくいときは、他社のDX推進事例を参考にすることがおすすめです。
成功事例だけではなく失敗事例についても調べておくことで、課題となりやすい部分を見極めることができます。

目標を決めた上で一貫性をもって取り組むことで、DX推進のプロジェクトを成功させやすくなるでしょう。
ゴールが定まっていないと、DXそのものが目的となってしまうこともあります。施策をスタートする前の準備段階で、事前に目標や取り組み内容を明確化しておくことが重要といえます。

また、DX推進の目標を定めるため、現状の課題を洗い出すこともポイントです。
既存の業務プロセスやシステム環境などを見直して、どの部分に改善点があるのかを探し出しましょう。
まずは部署ごとに問題を調査し、客観的な視点から分析して問題点を見直します。その後、部署ごとの分析結果を持ち寄ることで、会社全体の問題を総括できます。

DX推進へ向けた社内体制の整備

DXを進めるには組織的な取り組みが不可欠なため、事前に協力者を募る必要があります。
DX推進の責任者や、プロジェクトのチームメンバーなどを選定しましょう。

DX推進は組織自体の体制を根本的に変えていくこともあります。そのためには、全体で情報を共有しながら進めていく必要があります。
経営陣の同意がないまま進めると、DX推進そのものが難しくなってしまうでしょう。

現場の人員だけではなく、経営トップや管理職など、自社の意思決定に携わるマネジメント層の合意を得ることも重要です。経営者がDXの重要性を理解してコミットメントし、社員へビジョンを示す方法が理想的です。

DX人材の確保

DX人材とは、DX推進を中心的に担う人材のことです。ITに関する知識やスキルを有し、プロジェクトの統括においても能力を発揮するのが特徴です。
主な職種は、プロデューサー、ビジネスデザイナー、アーキテクト、データサイエンティスト/AIエンジニア、UXデザイナー、エンジニア/プログラマーなどさまざまです。

適した人材を選んで全社横断のプロジェクトチームを発足し、DXを進めていきましょう。

DXの進め方の主な流れ

DXは、適切な戦略を立てた上で事業・ビジネスモデルの変革を進めていくことが重要です。
また、推進した結果を振り返る機会を設けることで、DXの成功が近づくでしょう。
こちらでは、DX推進の基本的なプロセスや、ステップごとの注意点などを紹介します。

STEP1:DX推進の戦略立案を行う

自社のDX推進へ向けて具体的な戦略を立てる段階です。
プロジェクトのスケジュール、各部署で取り組むべきアクションや手順、項目別の優先順位などを決定し、DX推進の仕組みを構築していきます。
具体性のある計画を用意することで、プロジェクトをスムーズに進行させやすくなるでしょう。

また、企業によっては、いきなり大がかりな変革を実施することは難しいことがあります。
初めから大規模なDXを行うのは避け、無理のない範囲から始めることがおすすめです。段階を踏んでデジタル化を進めましょう。

STEP2:事業やビジネスモデルをデジタル化する

自社の事業やビジネスモデルに、デジタル技術やテクノロジーを取り入れる段階です。
システムを刷新することもひとつの方法ですが、既存のものを流用して改善したシステムを構築することもできます。自社にとって一番良い方法で新たな技術を取り入れましょう。

デジタル化の例として代表的なのはペーパーレス化です。アナログで行っていた業務の電子化を進めることで、紙や印刷コストの削減、オフィスのスペースの節約、セキュリティ性の向上などが実現します。

また、ビジネスモデルの変革は経営戦略においても重要性が高く、DX推進の最終的なゴールとされます。新規事業の創出により競争優位性を獲得できれば、利益の向上が期待でき、企業の成長にもつながるでしょう。
業務プロセスやワークフローのデジタル変革のみにとどまらず、ビジネスモデルの変革にも積極的に取り組むことが大切です。

STEP3:PDCAサイクルを回し、成果を出す

DX推進の施策に取り組んだ結果を分析し、改善へ向けて次回の施策を検討する段階です。
定期的な振り返りと評価によって現状の課題を発見し、PDCAサイクルを回して改善を繰り返すことがDX推進で成果を出すためのポイントとなります。指標をもとに施策の見直しを図っていきましょう。

一時的に取り組むのではなく、将来を見据えて長期的に取り組みを続けることが重要です。

DXを進めるメリット

DXを進めていくことで、競争力や生産性、業務効率などを向上させられることが期待できます。
こちらでは、DXのもたらすメリットについて、理由も含めて紹介します。

顧客体験が向上し競争力が高まる

企業がDX推進へ取り組むと、CX(顧客体験)の向上につながりやすいメリットがあります。
顧客体験とは、商品・サービスの購入前から購入後までに至る、すべての体験を指します。
魅力ある体験価値を提供することで、顧客へ訴求できるようになるでしょう。

DXで既存事業のビジネスモデルを変革すれば、時代ごとの市場のニーズへ柔軟に応えられるようになります。
イノベーションにより、新たな製品・サービスを提供できる可能性もあるでしょう。CX向上で競争力を高めることが可能です。

データ活用による生産性向上が期待できる

DXによって新しい技術を導入できると、管理すべきデータを一元化し、生産性を可視化しやすくなります。
これまでは複数に分かれていて全体像を把握しにくかったデータも一括で分析できるようになり、会社全体の生産性を見える化できるようになります。

課題を発見しやすくなり、効果的な改善策を打ち出せるようになることで、生産性向上につなげられるでしょう。
収集・分析したデータを活用することで、スムーズかつ迅速な意思決定も実現できるようになります。

加えて、DX推進は働き方改革推進にも役立ちます。データのリアルタイム共有やペーパーレス化、Web会議やオンライン商談の導入などにより、多彩な場所で働くことが可能になるためです。
DXでテレワーク制度やフレックスタイム制などの導入を実現できれば、さらに効率的に業務を進められるようになるかもしれません。

社内のコスト削減や業務効率化につながる

DX推進の一環で業務内容の見直しを実践することで、これまでは見落としていた無駄な部分に気づくことができます。
従来の方法では時間短縮が難しかった業務も、RPA(Robotic Process Automation)による自動化や無駄の削減で、効率化を図ることが可能です。RPAとは、ロボティックプロセスオートメーションのこと。

人力で行っていた作業を、人工知能やルールエンジンなどの技術によって自動化します。
上記のようなプロセスを経て業務効率がアップすることで、経費削減にもつながる点も大きなメリットです。

DXを進める際の注意点

DXの推進には多彩なメリットがあるものの、進め方を間違ってしまうと期待するような成果が得られないことがあります。
こちらでは、DXを進める上で知っておきたい注意点を紹介します。以下のポイントに留意しながらDXを推進しましょう。

プロジェクトの担当者や専任者を明確にする

責任の所在が曖昧な場合は、プロジェクト運営が失敗しやすいといえます。DX推進の担当者や責任者を定めておきましょう。
ただし、企業の状況によっては、DX人材の確保が難しいケースもあります。社内の人材のみでプロジェクトを進めることは難しい場合もあるでしょう。

自社で採用や育成を行う以外に、専門性の高いパートナー企業と連携する方法も効果的です。
専門家への情報共有や相談を行い、適切なサポートを受けることができれば、より的確なDX推進が実現するでしょう。システム開発の経験が豊富なベンダー企業などに協力を依頼し、ノウハウを学ぶのもひとつの方法です。

業務システムやツールの導入をゴールにしない

最新の技術を利用したシステムやツールを導入しても、すぐに会社の課題が解決するとは限りません。
「新しい機能を使いこなせない」「システムに慣れず、結局使わなくなった」「自社の持つ問題の解決方法にマッチしなかった」など、さまざまな理由で改善に至らないケースがあります。
システムやツールを採用する前に、自社にとって適しているのかを確認しておくことが重要です。

また、DX推進を成功させるには、新技術の導入だけではなく、ビジネスモデル変革へ向けての施策を打ち出すことが求められます。
ただシステムを新しくするだけにとどまらず、会社そのものの変容を促す姿勢が大切です。結果が出るまでには数年ほど要することもありますが、すぐに成果が見られなくても継続して進めていきましょう。

部署間で連携して全体最適化を意識する

DX推進は会社を挙げて進めていく必要があります。ビジョンを共有できていなければ部署間の連携がうまくいかず、推進に向けての取り組みに違いが生じてしまうことも。
DXを進める際は、目標として定めたビジョンを従業員全体で共有しましょう。

全体で連携することができれば、効果測定や課題分析、改善案策定などを効率的に実施できます。
DX推進プロジェクトのPDCAサイクルをスムーズに回せるようになるでしょう。

DXの最適な進め方を策定して自社の課題解決に取り組もう

DX推進は2025年の崖を乗り越えるために欠かせない要素といえます。現状の課題を解決できる仕組みを導入するのはもちろん、長期的な展望を見据えてシステム・ツールを導入することが大切です。
場合によっては、会社のあり方を変える必要も生じるでしょう。
柔軟に対応していくことで、時代の変化に合わせた競争力を持つことも可能です。

DX推進にあたり、各企業にはDX人材の確保が求められます。ただ、社内に適切な人材がいるとは限りません。場合によっては、専門家の力を借りてプロジェクトを進めることも必要です。
専門的な知識を持つ外部サポーターに依頼することで、無理なく効果的なDX推進を実施できるでしょう。

社内システムや商品・サービスにDXを導入する際には、プロのエンジニアによる徹底的なヒアリングと提案力に定評のあるYAZまで、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

ITコラム部YAZ

YAZ ITコラム部

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