【事例付き】RPAの導入方法|メリット・デメリット、運用までの流れ

2021年11月1日

入力、メール送信、データの転記など、単純な作業は多くの企業で発生します。多大なリソースが消費されてしまうほか、人が行うことによるミスも多いため、こうした単純作業を問題視している現場は少なくありません。しかし、現在はRPAというツールに単純作業を任せることができます。

こちらでは、定型的な業務プロセスを自動化し業務改善につながるツールとして注目されているRPAについて解説します。

RPAの基礎知識

RPAとは、どんなツールなのでしょうか。以下では、RPAの概要や、特にRPAでの実施が向いている業務についてお話しします。

RPAとは?

RPAとは、人間が行う作業の一部を自動化し、業務を効率化するシステムやツールの総称です。ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略称であり、ソフトウェアロボットやデジタルレイバーと呼ばれることもあります。業務効率化、リソース最適化の鍵になるツールだと考えられていることから普及が進んでおり、2021年度にはRPA市場は100億円規模になると予測されています。

【出典】総務省「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html#note03

RPAに向いている業務の例

  • ルーティンワークなどの定型業務

RPAは一定のルールにもとづいて作業を繰り返します。そのため、手順やルールが決まっていてイレギュラーな対応がないルーティンワークはRPAに適しています。データの転記、請求書や伝票の作成・印刷などが代表例です。

  • 大量のデータ処理

大量のデータ処理は人間が行うと時間がかかりすぎてしまいます。また、データ量が膨大な場合は、そもそも人間が処理すること自体が現実的ではありません。リソースをコア業務に集中させるためにも、RPAに任せられると好ましいでしょう。

  • 複数のアプリケーションにまたがる業務

複数のアプリケーションにまたがる業務にもRPAが活用されています。例として、「メールに添付されてきたExcelファイルの情報を社内システムに転記する」といった作業が挙げられます。

  • スクレイピング(データ収集)

スクレイピングとは、Webサイトから情報を集め、さらにその情報を利用しやすい形に加工する作業です。経済動向を探るためのニュースサイトからの情報収集、競合との価格比較表を作成するための商品データ収集などが、スクレイピングの代表例として挙げられます。定型的ながら、人間が行うと時間がかかる作業です。スクレイピングをRPAに任せることで、人間はデータの活用・分析に集中できるようになります。

  • データのクレンジング

クレンジングとは必要に応じて修正を行い、データの質を高めることです。修正の対象として重複、誤記、表記揺れ、などが挙げられます。また、複数人が共同で編集したデータの場合、それぞれの認識の違いによって異なるルール・マナーでデータが記述されているケースも少なくありません。
人間の手によるクレンジングは時間がかかるだけではなく正確性を欠きます。一方で、ルールが明確なためRPAが得意とする分野です。

RPA導入のメリット・デメリット

RPAを導入する場合はメリット・デメリットの双方を理解しておくことが大切です。代表的なメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

  • 人件費の削減につながる

人間が行う業務量や時間を削減できるため、より少ない人数で業務をこなせるようになります。残業時間の削減にもつながるでしょう。

  • 従業員をコア業務に集中させられる

定型的な業務の多くをRPAに任せられるため、従業員のリソースに余裕が生まれます。そのため、自社の従業員を生産性が高いコア業務に集中させることが可能です。業務効率の向上だけでも十分RPA導入の効果といえますが、その上で生産性の向上も実現できれば理想といえます。

  • RPAは24時間365日稼働できる

RPAは24時間365日休みなく稼働可能です。ほとんどスケジュールを意識することなく業務を完了させられるでしょう。週末、祝祭日を問わず稼働させられるほか、担当者の欠勤によって業務が止まることもありません。

  • ヒューマンエラーを防ぎやすい

単純な作業を機械的に自動で行うため、RPAが出したアウトプットは正確性・信頼性があります。人間が作業を行う場合のようなヒューマンエラーが起こらないため、業務の品質が一定に保たれる点が魅力です。エラーを修正するためのダブルチェックやフォローも必要ありません。

  • 作業スピードを向上しやすい

RPAを用いると定形作業のスピードを上げることができます。そのため、すぐに作業を完了させたい場合も便利です。急ぎで分析データがほしい場合なども安心して任せられます。

  • 小規模単位からでも利用できることが多い

多くのRPAは、PC1台単位、1ユーザー単位など、小さな単位で提供されています。そのため、小規模な導入が可能です。予算が限られている中小企業にも手が出しやすいツールといえます。必要な分だけ導入したい場合は、スモールスタートで効果検証してから本格的な導入を検討したい場合にも適しています。

デメリット

  • 停止リスクがある

RPAはシステム障害やバグ、サーバーのダウン、ネットワークの切断などにより突如停止する可能性があります。システムエラーが起こっている時にはRPAに担当させている作業が止まってしまうことになるため、すべての業務を任せるのは危険かもしれません。保守作業やサーバー環境の強化などでリスクを低く抑えることはできます。

  • 業務ルール変更時に修正対応が必要になる

RPAはあらかじめ設定したルールに従って稼働します。そのため、業務ルールが変更された場合にはRPAの設定も修正が必要です。修正をせずにRPAを稼働させると、間違った形で業務が実施されてしまいます。また、業務ルールの変更が多い現場では、RPAの設定変更が手間になるケースも考えられます。

  • 費用対効果が良くない場合がある

RPAはすべての業務を自動化できるわけではありません。ルール化できない柔軟な判断が求められるような業務は人間が行う必要があります。そもそも定型業務が少ない現場では、RPA導入による効果をあまり実感できず十分な費用対効果が得られない場合があるでしょう。導入する際は、入念なコストシミュレーションが必要です。

  • 業務内容のブラックボックス化につながる

RPAは指示なしで自動で業務を行います。また、最初にルールを設定する時以外は、ユーザー側に業務の知識やノウハウは求められません。そのため、その業務に精通している担当者が異動・退職すると、業務内容がブラックボックス化してしまうケースがあります。
こうした事態を防ぐためには、業務の引き継ぎをしっかりと行うことや、業務に関して詳細にまとめたマニュアルを残しておくのが効果的です。

  • 情報漏えいのリスクがある

ネットワーク経由で利用するRPAの場合は、不正アクセスされる可能性があります。サイバー攻撃による乗っ取り・情報漏えいといったリスクが考えられるため、万全なセキュリティ対策が必要です。

RPA導入の流れ

RPAをスムーズに導入するためには、いくつかの段階に分けて勧めていくことが重要です。導入の具体的な流れをご紹介します。

STEP1:業務の洗い出し

まず、すべての業務フローを整理し、RPAの対象となる業務を洗い出します。RPAに向いていない業務を対象から外すことが大切です。手順化されていない業務、運用ルールが抽象的な業務などが、RPA向きではない業務として挙げられます。RPAで削減可能な業務や時間などの概要をつかむことも、このSTEPの目的です。

STEP2:利用ツール・システムの選定

現在は多くのRPAツール・RPAシステムが提供されています。そのなかから自社に合ったものを選ばなければなりません。代表的な選定の基準となるのは上述したSTEPで洗い出した業務を自動化できる機能の有無ですが、他にも選定のポイントはあります。
導入コスト、インターフェースのわかりやすさ、対応言語、アフターケア・サポートなどを加味して、総合的に自社とのマッチングが良い製品を選びましょう。

STEP3:試験運用(トライアル)

一般的なRPAは試験運用(トライアル)を利用できます。この間に使用感を把握し、自社に本当にあっているツールか確認しておくことが大切です。運用に関して不安がある場合は、提供元に問い合わせることができます。

STEP4:効果測定・検証

試験運用では、効果測定・検証を行うこともできます。想定していた費用対効果が得られるかどうかの最終チェックをこの工程で行います。効果測定の方法として、導入前後で短縮された時間・削減された人件費の比較、ミスの件数の比較などが挙げられます。体感的な効果ではなく、しっかりと数値で効果を確認することが重要です。

STEP5:本格運用・保守

問題が見つからなければ、RPAを導入し本格的な運用を開始します。運用をスタートしただけで満足せず、本来の目的である業務効率向上が実現できているか定期的にチェックしましょう。RPAはエラーが起きることもあるため、運用開始後も保守やメンテナンスを継続することが大切です。

RPAの導入事例

RPAが実際に導入され、業務改善につながった例をご紹介します。

アパレルの在庫管理でRPA活用設計

A社では、在庫管理に自社開発の基幹システムを利用していました。管理されている製品マスタ情報を大手ファッション通販サイトへ登録する作業を都度行っています。その際には、サイトに指定されているフォーマットで商品情報を生成する必要があり、手動でその作業を行う手間や作業中に発生する人的ミスが課題となっていました。

こうした問題の解決のため、A社はRPAを導入。製品マスタ情報の抽出、変換、加工、ファイル生成、担当者への通知といった行程をRPAで自動化させました。担当者の仕事はファイルの最終チェックと通販サイトへのアップロード作業のみになったほか、ヒューマンエラーも大幅に減少し、品質向上・コスト削減につながりました。

物流倉庫向けのRPA導入支援

B社では、複数社から個別の荷物が届く度に毎回担当者が伝票を入力していました。入力作業の手間だけがかかるだけではなく、各社によって個別のフォーマットがあり、人的支援が必要となっていました。そこで、撮影した伝票部分の写真から文字情報を抽出するRPAを作成。文字データのパターンから適切なデータベースへの入力までを自動化しました。入力作業の簡略化、ミスの減少など、大幅な業務効率化が実現されています。

RPAによる業務自動化で自社の生産性を向上

RPAのメリット・デメリット、導入の流れをご紹介しました。導入に際して注意すべきことはありますが、多くの定型的な業務が自動化され、生産性の向上につながるはずです。単純な作業によってリソースが圧迫されている場合はRPAの導入を検討してみましょう。
新しくRPAのシステムを導入・開発する際には、開発コストがお得なYAZにご相談ください。

この記事を書いた人

ITコラム部YAZ

YAZ ITコラム部

IT業界に関心がある方へ向けて、専門用語を分かりやすく発信しています!

関連記事

おすすめの記事