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なぜ優秀なエンジニアは辞めてしまうのか?定着率を劇的に改善する「キャリア自律支援」という新常識

2025年8月13日

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「管理」から「支援」へ。社員の成長意欲を引き出し、企業の競争力に変える方法

「手塩にかけて育てた若手エンジニアが、数年で辞めてしまった」

「採用市場で、なかなか優秀な人材に選んでもらえない」

中小企業の経営者や人事責任者の方々から、このような切実な悩みを伺う機会が増えています。高い給与や手厚い福利厚生を提示する大手企業との採用競争は、ますます厳しくなるばかりです。

しかし、エンジニアが離職を決意する理由は、本当に待遇面だけなのでしょうか?

実は、多くのエンジニア、特に成長意欲の高い優秀な人材ほど、「この会社で、自分は成長できているのだろうか」「この先に、自分の望むキャリアパスはあるのだろうか」という”成長実感”や”キャリアへの展望”を重視する傾向にあります。

もし、社員のスキルや目標をExcelで管理し、年に1、2回の面談で形式的に確認するだけ、といった状況に心当たりがあれば、それは優秀な人材が去っていく危険信号かもしれません。

本記事では、中小企業が採用競争を勝ち抜き、エンジニアが「ここで働き続けたい」と思える組織を作るための新しい常識、「キャリア自律支援」について、具体的な方法とともに解説します。




中小企業を取り巻く「人材」の厳しい現実と、変化する働き手の価値観

ご存知の通り、日本は深刻な人口減少の局面を迎えています。総務省の調査によれば、生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少を続けており、今後もこの傾向は続くと予測されています。



(総務省統計局「人口推計グラフ」(2025年7月22日公表))

これは、すべての企業にとって「人材獲得のパイが縮小し続ける」ことを意味します。特に、ブランド力や資本力で大手企業に及ばない中小企業にとって、採用競争はますます厳しいものになるでしょう。

さらに、働き手である個人の価値観も大きく変化しています。終身雇用が当たり前ではなくなった今、「会社に依存する」のではなく、「自らのスキルで市場価値を高め、キャリアを自分で築きたい」と考える「キャリア自律」の意識が、特に若い世代で高まっています。

厚生労働省の調査でも、若年層の離職理由の上位には「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」といった待遇面に加え、「自分の技能・能力が活かせなかった」といった項目が挙げられています。

つまり、これからの時代に企業が選ばれるためには、金銭的な魅力だけでなく、「この会社にいれば、専門家として成長できる」という実感と期待を社員に提供することが不可欠なのです。


解決の鍵は「管理」から「支援」への転換。個人の成長が企業を強くする

では、どうすれば社員に「成長実感」を提供できるのでしょうか。その鍵は、企業の人材に対するスタンスを、一方的な「管理」から、個に寄り添う「支援」へと転換することにあります。

「支援」への転換のために、まず取り組むべき具体的な打ち手は、以下の2つです。

  1. スキルの可視化: 社員一人ひとりが持つスキルを、客観的な指標で誰もがわかる形にする。
  2. 納得感のある目標管理: 可視化されたスキルを元に、本人が納得できる成長目標を設定し、その進捗を継続的にサポートする。

この2つが揃って初めて、社員は「自分の現在地」と「目指すべきゴール」を明確に認識でき、日々の業務に成長への手応えを感じられるようになるのです。


ステップ1:客観的な指標で「スキルの現在地」を可視化する

「スキルの可視化」と聞くと、難しく感じるかもしれません。
しかし、これがもたらすメリットは絶大です。

  • 本人にとって: 自身の強みや弱みを客観的に把握でき、次のキャリアステップを考えやすくなる。
  • 上司・会社にとって: 個人のスキルに合った最適な業務をアサインできる。戦略的な人員配置や育成計画が立てやすくなる。

ここで重要なのが、「上司の感覚」といった曖昧なものではなく、客観的な指標を用いることです。

その指標として信頼性が高いのが、IPA(情報処理推進機構)が策定した「iCD(i Competency Dictionary)」という、IT人材向けの公式なスキル標準です。

とはいえ、「いきなりiCDを本格導入するのはハードルが高い」と感じる企業も多いでしょう。そこでオススメなのが、iCDの考え方をベースに、より手軽にスキル診断ができる「タスクプロフィール」の活用です。これにより、現場の負担を抑えながら、スキル可視化の第一歩を踏み出すことができます。




ステップ2:成長を実感できる「目標管理」を仕組みで回す

スキルが可視化できたら、次はそのスキルをどう伸ばしていくか、具体的な「目標管理」のステップに進みます。

これでは、目標は形骸化し、社員のモチベーションも上がりません。煩雑なExcelやメールでの運用は、人事担当者や管理職の時間を奪い、本来向き合うべき「社員との対話」の質を下げてしまいます。

目標管理こそ、システムを導入して「仕組み化」すべき領域です。システムによって運用フローが定着すれば、目標設定から進捗確認、評価までがスムーズに回り始めます。管理業務から解放された上司は、部下との1on1など、より本質的なコミュニケーションに時間を使えるようになり、結果として部下の成長支援と評価への納得感を高めることができるのです。


個人が主体だから、定着する。TrueColorsが実現する新しい人材育成

ここまでお話ししてきた「スキルの可視化」と「目標管理の仕組み化」。これらを、中小企業が導入しやすい形でワンストップで実現するのが、私たちの提供するタレントマネジメントシステム「TrueColors」です。

  • IPA開発の「タスクプロフィール」を使った簡易診断で、エンジニアのスキルを低負担で可視化。
  • オンライン上で、目標管理制度(MBOなど)のテンプレート作成から運用、通知までを一元管理。
  • Excelやメールでの煩雑な人事業務を削減し、本来の人材育成に集中できる環境を創出。

しかし、TrueColorsが他の多くのタレントマネジメントシステムと一線を画す、最も重要な思想があります。それは、徹底して「個人が主体」であることです。

一般的なシステムでは、社員のスキル情報は「会社の資産」として、企業内に閉じて管理されます。社員が退職すれば、そのデータは失われるか、会社に残るだけです。

一方、TrueColorsの個人アカウントは、退職後も本人がスキルデータを持ち運び、自身のキャリア資産として活用し続けることができます(スキルポータビリティ)

これは、「会社は、個人のキャリア形成を支援するプラットフォームである」という考え方に基づいています。会社が自分のキャリア資産形成を応援してくれる。この信頼感が、エンゲージメントを高め、「この会社で頑張ろう」という意欲に繋がるのです。

この思想は、長年ITソリューション事業(受託開発)を手掛け、多くのエンジニアと共に成長してきた私たちだからこそ辿り着いた、現場起点の答えでもあります。


まとめ:企業の未来は、社員一人ひとりの輝きから生まれる

人口減少と採用競争の時代において、中小企業が優秀な人材に選ばれ、共に成長していくためには、「管理」の発想から脱却し、社員一人ひとりの「キャリア自律」を「支援」するという視点が不可欠です。

社員が自らの成長を実感し、市場価値を高められる環境。それこそが、これからの時代における企業の最も強力な魅力であり、競争力となります。

TrueColorsは、その実現を力強くサポートします。まずは、御社の状況に合わせて、次の一歩を踏み出してみませんか?


この記事を書いた人

佐々木 努

執行役員CTO
人材開発室 室長
一般社団法人 iCD協会 活用支援委員会メンバー