FinTech
ITコラム 初級編

FinTech(フィンテック)とは?技術と活用分野、メリット・デメリット

2022年2月24日

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「FinTech(フィンテック)」は、ICTやDXなどの用語と並び、ビジネスにおけるIT活用の場面で知っておきたい用語のひとつです。
この記事では、FinTech(フィンテック)の概要や関連サービス、活用されている技術や実用されている分野について解説します。
お金のやり取りを変革するシステムとして世界的に注目されているFinTech(フィンテック)。情報をキャッチアップするためにぜひお読みください。

FinTech(フィンテック)の基礎知識

まずは、FinTech(フィンテック)に関する基礎知識について確認しておきましょう。FinTech(フィンテック)の概要や、FinTech(フィンテック)による主なサービスをご紹介します。

FinTech(フィンテック)とは?

FinTech(フィンテック)とは、金融を意味する「Finance」と、技術を意味する「Technology」を組み合わせた造語です。金融サービスと情報技術をかけ合わせて生まれた革新的なサービスのことを指します。IT技術の発展にともない、金融業界ではFinTech(フィンテック)を利用した新たなサービスが次々と生まれています。

FinTech(フィンテック)を利用した主なサービス

  • キャッシュレス決済

キャッシュレス決済は、紙幣や硬貨を使わずに決済や送金ができるサービスです。スマートフォンのアプリで生成したコードを読み取って決済するサービスが普及しています。送金やお金のチャージも、スマートフォンの操作で簡単に行える点が魅力です。

  • 仮想通貨(暗号資産)

仮想通貨(暗号資産)は、主にインターネット上で取引される実体を持たない仮想の通貨のこと。サービスによっては、通常のお金と同じように決済で利用できます。技術やニーズ、希少性によって価値が変わるため、近年では投資対象としても一般的です。

  • インターネットバンキング

インターネットバンキングとは、インターネット上に設けられた銀行口座で、預金や送金などの銀行手続きができるサービスのこと。
一般的な銀行とは異なり、窓口やATMに足を運ぶ必要はありません。入出金の管理なども、ポータルサイト上で時間や場所を選ばずに実施できます。

  • ロボアドバイザー

ロボアドバイザー(ロボアド)は、資産運用のアドバイスや売買の自動化といったサポートを受けられる投資家向けのサービスです。
投資家のリスク許容度に応じて、意思決定のサポートをしてくれます。買付を自動化できるため、銘柄の管理を効率化したい投資家にも利用されているサービスです。

  • クラウドファンディング

クラウドファンディングは、事業やプロジェクトの達成に必要な資金をインターネット上で募るサービスです。
近年は、銀行融資やエンジェル投資家からの支援に変わる新しい資金調達方法として利用されています。

  • ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングとは、資金調達を希望している法人と資産運用したい投資家をマッチングするサービスのことです。
投資家へのアピールが簡単にできるプラットフォームのため、利用法人にとっては資金調達に役立ちます。法人審査や貸付などを運営側が担当するため、投資家にとっても利用しやすいサービスです。

  • PFM(個人資産管理)

PMF(個人資産管理)とは、その名の通り個人の資産を管理する取り組みのことです。一般的には、お金の管理を効率化するソフトウェアを総称する言葉として用いられています。
パソコンやスマホで利用できる家計簿アプリなどが代表例です。

  • クラウド会計ソフト

クラウド会計ソフトは、主に企業で利用される会計処理用のソフトです。紙の会計業務から移行することで、ペーパーレス化を実現できます。
給与計算や請求書発行などの機能も搭載されているため、煩雑な会計業務を効率化できる点も大きな魅力です。

FinTech(フィンテック)で利用される主な技術

FinTech(フィンテック)はさまざまな技術によって実現されています。以下では、FinTech(フィンテック)で活用されている代表的な技術について解説していきます。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは取引履歴などのデータを鎖のように連結した形で記録する、データベース技術のひとつです。取引履歴はネットワークに参加しているすべてのコンピューター間で共有します。そのため、データの破壊や改ざんが困難で、不正な取引を防ぎやすい点が大きな特徴です。
ブロックチェーンの技術は、暗号資産に利用されています。このことから、暗号資産のセキュリティは非常に堅牢です。

ビッグデータ

ビッグデータとは、量が膨大かつ種類が多様で、生成頻度が高いデータのこと。そのままの状態では活用が困難ですが、AIの技術と組み合わせることで、分析や活用の可能性が広がります。
ビッグデータを分析すると、それまで明らかになっていなかったユーザーの傾向や、行動の規則性などが見えてくるケースがあります。
金融サービスの利用者データなどは、FinTech(フィンテック)におけるビッグデータとして代表的な例です。

人工知能(AI)

Fintech(フィンテック)で人工知能(AI)が活用されるシーンは少なくありません。投資のアドバイスを行うロボアドバイザーはFintech(フィンテック)におけるAI活用の代表例です。
ユーザーにとって有益な回答を返してくれるだけではなく、詳細な分析機能により最新の市場状況にもとづいた的確な提案をしてくれます。
また、前述のビッグデータは膨大な量のため、人間の力で分析するのは現実的ではありません。AIの活用によってはじめて有用となるデータといえます。

API

APIとは「Application Programming Interface」の略語です。インターフェースは、何かと何かの接点を意味します。
このことからAPIは「アプリやシステム同士を連携させる仕組み」という意味で一般的に認識されています。
FinTech(フィンテック)における代表的な活用例といえるのが、口座管理アプリです。APIで連携させることによって、口座管理アプリでユーザーが指示した処理が実際の口座でリアルタイムに反映されます。

IoT

IoTとは「Internet of Things」、つまり「モノのインターネット」のことです。さまざまな製品をインターネットに接続し、データを収集する仕組みを意味します。
ユーザーがインターネット経由でIoTデバイスを制御・管理することも可能です。契約申込者の生活習慣、食生活、運転技術などからリスクを判断して保険料を決めるような活用方法は、FinTech(フィンテック)にIoTが活用されている例といえるでしょう。

生体認証

生体認証は指紋や顔でユーザーを認証するシステムのこと。これまでは、銀行手続き、クレジットカードの決済などでは、暗証番号やサイン、印鑑などが認証方法として採用されていました。生体認証では、指先や顔を読み込ませるだけで認証できるため、手続きや決済が大幅にスムーズになります。
「近い将来、口座解説に印鑑は必要なくなる」という考えを示している銀行もあります。

FinTech(フィンテック)が活用される分野

最先端の技術は、すでに金融業界において幅広いシーンで活用されています。FinTech(フィンテック)が活用される代表的な分野をご紹介します。

融資・ローン

融資やローンの分野では、AIの活用が進んでいます。AI技術で過去の取引履歴を分析し、与信や融資に反映させている金融機関は少なくありません。個人の傾向に合わせて最適なローンを提案したり、適切な融資金額を判定したりすることが可能です。入力されたデータを基にAIが信用度を算出し、数値化するサービスもあります。
現状のスコアに応じて利率や限度額が決まり、借り入れできる仕組みとなっているため、審査や限度額の設定が効率化されます。

保険

保険分野で利用されるFinTech(フィンテック)は「InsurTech(インシュアテック)」とも呼ばれます。こちらは、英語で保険を意味する「Insurance」と技術を表す「Technology」を組み合わせた造語です。ビッグデータの活用により、保険商品のリスク削減や、保険料の最適化を行えるようになりました。
ビッグデータの取得は、契約者本人が装着・利用するウェアラブルデバイス、スマホ、ドライブレコーダーなどのIoTデバイスによって行います。また、AIやIoTを利用した新たな保険商品の開発も期待されている状況です。

資産管理

資産管理におけるFintech(フィンテック)の活用も一般化してきています。代表的な例は、資産を一元管理できるアプリです。毎月の支出を家計簿機能で管理するだけではなく、クレジットカードや証券口座の情報を紐付けることで資産全体を管理できます。口座やクレジットカードの入出金状況が自動で反映されるため、手作業で家計簿をつける場合のような手間が発生しません。
アプリによっては、ECサイトなどのポイント管理に対応しているものもあります。

投資

投資分野ではAIの活用例が増えて生きています。代表的な例が、ロボアドバイザーです。ユーザーの入力情報をAIが判断するため、客観的な投資アドバイスが得られます。
また、市場の状況をビックデータとして取り組み分析した結果をアドバイスに反映させるため、経験が少ない投資家でも低リスクな投資ができるようになるでしょう。

資金調達

Fintech(フィンテック)の登場により、スタートアップ企業やベンチャー企業、個人の起業家にとっては、資金調達の選択肢が増えたといえます。銀行融資は利率が低い一方で、審査が厳しいのがデメリットです。一方、クラウドファンディングを利用すると、事業の魅力が認められれば賛同してくれた人からの援助を受けられます。
エンジェル投資家と法人をマッチングしてくれるサービスも一般的です。

FinTech(フィンテック)のメリット・デメリット

FinTech(フィンテック)には多くのメリットがある一方でデメリットもあります。以下では、消費者側とサービス提供者側それぞれにとってのメリット・デメリットを解説します。

FinTech(フィンテック)のメリット

  • 消費者側のメリット

消費者側のメリットとして、利用できるサービスの選択肢が広がりやすい点が挙げられます。これは、技術の進歩とIT企業の参入で新たな商品・サービスが誕生する可能性が高いためです。
また、コストや手間がかかりにくくなる点もメリットのひとつ。
一部業務の自動化により、手数料などのコストが削減されるケースがあります。窓口業務のリモート化が進めば、出向く手間が省けるでしょう。
キャッシュレス決済の普及にもFintech(フィンテック)が貢献しています。現金を持ち歩かずに済むため、安全性が高い点が魅力です。

  • サービス提供者側のメリット

FinTech(フィンテック)によって、サービス提供者側は既存のビジネスに新たな価値を創出できる可能性が高くなります。
競争力が高まり、金融サービスの利用者増加も期待されるでしょう。従来のサービスよりもコストを削減できるほか、生産性の向上にもつながります。

FinTech(フィンテック)のデメリット

  • 消費者側のデメリット

ほとんどのサービスはインターネットの利用を前提としているため、インターネットが不通になった場合、サービスが利用できなくなります。
また、インターネットを通じてデータのやり取りを行うため個人情報が漏えいするおそれがある点もデメリットのひとつ。サービス提供者側がセキュリティ対策を施していても、悪意を持った第三者に不正ログインされてしまう可能性は否定できません。

  • サービス提供者側のデメリット

金銭に関連したサービスを提供している性質上、セキュリティを強固に保ち続ける必要があります。
新しいサービスを提供する場合、後から欠陥が見つかるおそれがあるため注意が必要です。また、設備投資にコストがかかりやすく、サービス提供までのハードルが高い点もデメリットといえます。

自社でFinTech(フィンテック)の活用を検討してみましょう

FinTech(フィンテック)の概要や活用例、メリット・デメリットについてご紹介しました。

今後もさまざまな新しいサービスが展開され、ビジネスにイノベーションを起こしていくと考えられます。
FinTech(フィンテック)を利用して自社の事業を拡大させられないか検討してみましょう。また、財務管理などで慢性的に抱えている課題も、FinTech(フィンテック)によって解決できるかもしれません。

FinTech(フィンテック)を利用したサービスの開発・導入をご検討の際は、FinTech(フィンテック)関連システムの開発実績が豊富なYAZにご相談ください。

この記事を書いた人

ITコラム部YAZ

YAZ ITコラム部

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