アプリケーションの作り方
ITコラム 初級編

アプリの作り方|自社作成の流れとメリット、アウトソーシングの方法

2022年5月27日

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アプリは、企業経営を円滑にするために欠かせない存在です。顧客管理や案件管理、勤怠管理、メール、会議、企画書作成など、あらゆる業務がスマートフォン(スマホ)やパソコン(PC)にインストールされたアプリを介して行われます。

しかし、中には自社に最適なアプリがなく、他社製のアプリを妥協して使用しているケースも少なくありません。そんなときに検討されるのがアプリの自社制作です。

本記事では、アプリの作り方について、自社作成の流れやメリット、アウトソーシングの方法に触れつつ解説します。

企業がアプリを作るための基礎知識

企業がアプリ制作に取り組む場合、「事業に必要なアプリを自社開発して業務効率化に役立てたい」「新規事業としてアプリ開発を行い、収益構造を改善したい」などの目的が挙げられます。
どのような目的でアプリ開発を行う場合でも、基本的な知識を習得した上で着手することが大切です。
ここでは、企業が作るアプリの種類や特徴、アプリ制作に必要なアイテムをご紹介します。

アプリの種類と特徴

アプリの種類には、ダウンロードした端末上で動作する「ネイティブアプリ」と、Webブラウザで動作する「Webアプリ」の2種類があります。
ネイティブアプリは、OSによって開発環境が異なるのが特徴です。例えば、iPhoneのOSは「iOS」で、アプリはAppleのストア「App Store」で配布されます。

一方AndroidスマホのOSは「Android OS」で、アプリはGoogleのストア「Google Play」で配布されます。
ネイティブアプリは端末にダウンロードして使用するため、動作が比較的速くなる傾向にあり、スマホやタブレットなどの端末の機能を利用できます。

Webアプリはダウンロードが不要で、WebブラウザがインストールされていればOSに関係なく動作するマルチプラットフォームであるのが特徴です。
ただし、アプリを利用する際は常にインターネットに接続する必要があります。

アプリ作成で用意するもの

最初にPCを用意しましょう。PCは、アプリ制作で中心的に使用する機器です。ネイティブアプリとWebアプリのどちらを作成する場合でも必須のアイテムとなります。
簡単なアプリであればスマホのみで開発することも可能ですが、本格的なアプリ開発にはおすすめしません。
iPhoneアプリを作成する際は、WindowsのPCが対応していないため、Macが必要になります。

また、作成したアプリの動作を確認するためのテスト用端末として、スマホやタブレットも準備しましょう。スマホアプリ開発を行う場合は、提供予定のOSの入った端末を用意する必要があります。
そのほかには、開発工数の削減や省力化を目的として、開発ツールも利用されます。具体的には、iOSアプリの場合はAppleが提供する「Xcode」、Androidアプリの場合はGoogleが提供する「Android Studio」を使用します。

アプリの作り方の主な種類

アプリの作成方法は一種類ではありません。自社のアプリ開発に関する実績や制作予定のアプリの種類に応じて適切な方法を選択しましょう。ここでは、3つの方法を解説します。

プログラミング言語を利用した作り方

自社でプログラミングを行い、一からアプリを作る方法です。アプリ開発者にはプログラミングスキルの習得や、ITの専門知識などが求められます。難度が高い一方、自由度の高い開発を実現できるのが魅力です。

使用するプログラミング言語は、アプリの種類によって異なります。例えば、スマホアプリを開発する場合は、一般的にiOSアプリでは「Swift」「Objective-C」など、Androidアプリでは「Java」「C++」「Kotlin」などの開発言語が使われます。また、Webアプリの場合は、「HTML5」「CSS」「JavaScript」などの知識が必要です。

アプリ開発ツールを利用した作り方

いわゆる「ノーコードツール」とも呼ばれる、プログラミングの知識なしでアプリを作成できるサービスを利用した方法です。
ソースコードの記述をする必要がなく、簡単な操作でアプリ開発を行えるため、社内に専用の開発部署がない場合やプログラミング初心者の方でも手軽に取り組めます。
基本無料で利用できるサービスが多く、有名なツールであれば使い方を説明したWebサイトが豊富な点も魅力です。

ただし、自社で一からプログラミングする場合と比較して、柔軟性や拡張性が低い傾向にあります。
業務内容に合わせてカスタマイズする場合や、細部にまでこだわったアプリを制作するには、一定のプログラミングスキルが求められます。

ゲームエンジンを利用した作り方

ゲームアプリの開発を手がけたい場合は、ゲームエンジンを利用するのもおすすめです。ゲームエンジンとは、ゲームコンテンツの開発に必要な機能が組み込まれたソフトウェアのこと。

例えば、ゲーム内のキャラクターに特定の動作をさせたい場合、ゲームエンジンを利用していれば難しいソースコードを記述することなく簡単な操作で実装できます。
ただし、アプリ開発ツールの場合と同様、本格的なゲームアプリを作成するにはプログラミングの知識が必要です。

企業がアプリを作る流れ

企業がアプリを制作する流れは、主に「企画・設計」「開発」「テスト・修正」「リリース」の4つのステップに大別されます。

企画からリリースまでは、簡単なアプリで数カ月、本格的なアプリの場合は1年以上かかるケースもあります。
個人が趣味で始める場合とは異なり一定の時間やリソースが必要となるため、長期的な視点で事業計画を策定することが大切です。

STEP1:アプリの企画と設計

最初にアプリの仕様書を作成します。仕様書とは、アプリ開発の目的や端末の種類、必要な機能、画面遷移などを定めたものです。
アプリの仕様を明確にすることで工数の削減に役立ちます。アプリ開発では、技術仕様書や機能仕様書など、複数の仕様書を作成するのが一般的です。

仕様書が完成したら、内容を実現するためにアプリの設計を行います。画面のデザインやボタンの配置など、専門知識に基づいた設計が求められます。
複雑なアプリを開発する場合は、どのプログラムでどの機能を実現するかを記載した設計書を作成すると良いでしょう。
設計書に基づき必要な画像や音声データがある場合は、開発に入る前に用意する必要があります。

STEP2:アプリの開発

次に、自社で選択した作り方に応じて、アプリの開発を行いましょう。STEP1で決めた仕様と設計に基づき、アプリの開発を進めます。

開発の段階で問題が発生したら、設計フェーズに戻り、どこで不具合が生じたのか確認する必要があります。
経験の浅いエンジニアの場合、一般的な開発期間よりも多くの時間がかかる可能性がある点も考慮しなければなりません。仕様書や設計書を丁寧に作っておくと手戻りを削減しやすくなります。

STEP3:アプリのテストと修正

予定していたアプリがある程度形になったら、公開前にテストを行います。テストはアプリのエラーやバグを発見し、修正する目的で行われます。
一度の開発でアプリが完成することは基本的にありません。「テスト→エラーの発見→修正」のプロセスを繰り返しながら、徐々に完成へと近づきます。
特に経験の浅いエンジニアが担当している場合は、この工程を丁寧に行うことでプログラミングスキルの向上も見込めます。

アプリ開発のテストには、「単体テスト」「結合テスト」「システムテスト」の3つがあります。

単体テストは、プログラム一つひとつが設計書通りに稼働するか検証するプロセスです。
プログラム同士の連携性が低いため、この段階で問題が発生しても比較的簡単に修正できます。

結合テストでは、単体での動作をクリアしたプログラムを組み合わせて稼働します。
実際のアプリに近い形で動作をチェックし、バグやユーザビリティに問題がないか検証するテストです。

最後に行うのがシステムテスト。実際の使用が想定されるハードウェアと組み合わせてアプリを動かし、パフォーマンスやインターフェースなどをチェックします。

STEP4:アプリのリリース

テストや修正を経てアプリが完成したら、公開して運用をスタートさせましょう。iOSアプリの場合はApp Store、Androidアプリの場合はGoogle Playに申請を行い、許可が下りるとリリースできます。

また、アプリはリリースして終わりではありません。リリース後に発覚した不具合への対応やアプリのアップデート、OSアップデートへの対応などが必要です。
特に、不具合への対応が遅れるとユーザー離れや利便性の低下につながるおそれがあるため、発見したらすぐに対処することが大切です。

企業が自社でアプリを作成するメリット・デメリット

次に、企業が人材やコストをかけてアプリを作成するメリット・デメリットをご紹介します。
アプリの自社開発を検討している場合は、メリットを把握した上でデメリットをカバーできると理想的です。

自社でアプリを作成するメリット

自社で一からアプリを作成することで、アプリ開発のノウハウを社内に蓄積しやすいのがメリットです。
アプリ開発を自社の新規事業として考えている場合は、従業員のスキルアップにつながり、売上の向上や事業成長の加速が期待できます。

アプリ開発のノウハウを持った従業員が増えると、既存アプリの仕様変更や機能追加の際に社内で対応可能になる点もポイントです。
専門の企業へ依頼する際に発生する外注費用を抑えられるため、コスト削減と業務の効率化を両立できます。

自社でアプリを作成するデメリット

アプリ開発を内製化する場合、多くの時間と費用がかかり、コスト面での負担が大きいのがデメリットです。アプリ開発のために社内のリソースを投じることで、エンジニアやプログラマーの工数、人件費などのコストが発生します。

また、社内にエンジニアやプログラマーが不在の場合、新たにIT人材を採用したり、社員教育でエンジニアを育成したりする必要があります。
社員教育の実施には、独学用の教材を提供したり、プログラミングスクールで勉強させたりする方法が効果的です。
担当者のアプリ開発の経験が浅い場合には、アプリのクオリティを向上させるのが難しいため、社内教育に力を入れると良いでしょう。

企業がアプリ開発をアウトソーシングする方法

アプリの自社制作に負担を感じる場合は、外部パートナーとなる開発会社と連携し、業務のアウトソーシングを行うという選択肢のほうが費用対効果に見合う場合があります。
そこで最後に、企業がアプリ開発をアウトソーシングする方法をご紹介します。

アプリ開発のアウトソーシングとは?

アプリ開発のアウトソーシングとは、企業が外部パートナーにアプリ開発を外注することを指します。自社にアプリ開発に関するノウハウや人材がない場合でも、多くのエンジニアやプログラマーが所属する開発専門の企業へアプリ開発を依頼できることがメリットです。

専門会社のため、店舗アプリやゲームアプリ、IoTアプリ、ロボットアプリなど多種多様なアプリの開発へ柔軟に対応できます。最先端のテクノロジーに精通している開発会社の場合、自社にノウハウがなくても新規性・独自性のあるアプリを作成しやすくなります。

アプリ開発をアウトソーシングする流れ

STEP1:開発会社の選択・問い合わせ

最初に、社内で企画書を作成し、開発会社へ問い合わせを行います。サポートが手厚く、担当者とコミュニケーションを取りやすい開発会社を選ぶとトラブルを防止しやすくなります。
問い合わせの際は、アプリの完成イメージを開発会社へ詳細に伝えることが大切です。

STEP2:見積もりの依頼~契約

外注先の企業が決まったら、見積もりを依頼しましょう。候補が複数ある場合は、相見積もりを取るのも効果的です。見積もりの依頼時には「要件定義書」を作成します。
要件定義書とは、アプリ開発の目的や実装する機能、仕様などをまとめた書類のことです。開発会社との認識のズレをなくすために作成されます。
自社で要件定義書を作成するのが難しい場合は、代行サービスを利用する方法もあります。
要件定義書の作成や対面での打ち合わせを通して、アプリ開発に関する認識のすり合わせが完了したら、契約書を交わして開発をスタートさせましょう。

STEP3:アプリ開発の制作進行

次は、外注企業が実際にアプリ開発を進めるプロセスです。アプリの基本的な構成や操作方法を構築する「外部設計」、ユーザーからは認識できない部分を構築する「内部設計」、アプリの細かな挙動を設計する「プログラミング」の3つに分けて作業が行われます。
事前に作成した要件定義書をもとに設計が進められるのが一般的です。

アプリがある程度完成したらテストのフェーズへ移ります。
テストは開発会社に任せきりにするのではなく、依頼会社も参加し、不具合や気になる点があれば修正を要望するのが良いでしょう。アプリの検収直前に修正が必要になると、工数が大きくなりやすく、追加費用やリリースの延期につながるおそれがあるためです。

STEP4:アプリの検収

テストが完了しアプリが完成したら、検収を行いリリースの手続きを進めます。リリース予定のプラットフォームに合わせた手続きを行いましょう。また、契約内容によっては、リリース後のメンテナンスや運用を開発会社が継続して担うケースもあります。

アプリの作り方を理解して企業経営に役立てよう

今回は、企業がアプリを作る方法やアウトソーシングの手順などを解説しました。企業がアプリを制作する場合、内製化と外注の2つの方法があります。
内製化には企業としての成長や従業員のスキルアップにつながるメリットがある一方、リソースやコスト面で経営の負担となるケースもあります。
自社の開発能力や規模に応じて適切な方法を選択しましょう。

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この記事を書いた人

ITコラム部YAZ

YAZ ITコラム部

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